創業明治三十九年 仁生堂薬局 東京千住
2015-05-10

第3回 中野界隈で探す局方生薬

今年のゴールデンウィークは申し分なく好天に恵まれました。
皆様、出かけた先で、様々な木や草花の活きいきとした姿をご覧になったのではないでしょうか。
不肖私めは、近場で植物観察(や飲み会など)を楽しんでおりました。

さて、5月5日、中野へ行ってきました。

中野サンプラザ&この木なんの木

おや?JR中野駅の中央線上りホームから、何だか若い樹の一群が見えますね!改札を出て近づいてみたい気分です。

くすりに関する公定書、日本薬局方(にほんやっきょくほう)という本がございます。
街へ出て、日本薬局方に収載されている生薬の基原植物となっている薬草を探してみましょう。

現在最新の局方は、第16改正日本薬局方。「生薬等」という章があり、いろんな生薬の規格が載っています。
そのトップバッターが、アカメガシワ(五十音順だから)。植物名も生薬名も同じです。
漢字表記は「赤芽柏」「赤芽槲」「赤目柏」など。もっとも新芽が赤みを帯びるのが特徴ですので、「赤芽」が本来だろうと思っています。

アカメガシワ&富士山から帰ってきた成田エクスプレス

うん、やっぱりアカメガシワ(トウダイグサ科)です。樹皮を、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの薬に用います。
葉が大きく、お皿として使ったのでサイモリバ(菜盛葉)という別名もあるようです。
かしわもちのカシワ(ブナ科)とは全く違う植物ですが、葉を食器に使った植物には「○○ガシワ」という名がしばしばついています。

アカメガシワというだけに、芽が赤い

名前の由来である赤い芽&若葉。赤い毛が密生しています。
中心部の、アスパラガスの先端のような構造は蕾の集まりですね。雌雄異株です。オスメスどちらであるかは6月頃に花が咲けば判るでしょう。なお、花の頃には赤い毛は取れて無くなり、ふつうの緑色の葉になります。

温暖で日当たり良好な丘陵地がアカメガシワの分布のメインです。が、種子が鳥によって食べられて運ばれるので、市街地でも忽然と雑草というか雑木(ざつぼく)的に生えてきます。庭にも生えたりします。庭の景観を保つには、小さいうちに除いたほうがいいです。ほっとくと根が拡がって面倒になります(笑)。
アカメガシワは、根からも萌芽して群落を作る能力があります。だから、この一群の集団も、地下で繋がっている可能性が高いと思われます。

それでは、なんとなく線路沿いを高円寺方面へ歩いてみましょう。
ドクダミ(ドクダミ科)、生薬名ジュウヤク(十薬)など、おなじみの薬草も生育しています。が、あまり意外でないので本稿では割愛(またかよ)。

中央線沿いのフェンスには様々なツル植物が生育していました。

中央線&アケビのツル

お、この5枚の掌状複葉は…アケビ(アケビ科)ですね!生薬名はモクツウ(木通)、つる性の茎を使います。消炎、利尿等の作用があり、消風散(しょうふうさん)、竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)などの漢方処方に配剤されています。
今回は見つけられませんでしたが、葉が3枚のミツバアケビも、同じく木通として使われます。
なお、中国産「木通」の中にはウマノスズクサ科を用いたものもありますが、本稿では日本薬局方に準拠して書いておりますので御承知おきください。

この中央線アケビ、山のアケビが甘くておいしい果実をつける秋、やはり鳥が種子を運んできたものでしょうか。
このアケビは実をつけるにはまだ若そうです。というか大きくなると刈られるので、実は難しいかな。たとえ実がダメでも春の新芽は山菜(木の芽)として賞味できます。
線路沿いは意外な植物の宝庫で、けっこう侮れないものです。

それではごきげんよう。

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