漢方豆知識

第116話　『妊娠しやすい身体作り ～PCOS～』

　通常、月経１周期に１つの卵細胞が成長して排卵しますが、PCOS（多囊胞性卵巣症候群）の場合は、ホルモンバランスの乱れにより卵巣内にたくさんの未熟な卵胞がたまり、排卵すべき主席卵胞がうまく排卵できずに滞留し、妊娠力が低下してしまう状態です。不妊の原因に関わるとして近年漢方相談が増えています。
　中医学でPCOSの原因は様々あると考えます。老廃物や不要なものをため込んで停滞している痰湿体質、血の流れが滞る瘀血体質、気の巡りが滞る気滞体質、根本的な排卵の力や妊娠力が弱い衝任不足（腎虚）体質などがあり、体質によって合う漢方薬を選んでゆきます。
桂枝茯苓丸、芎帰調血飲第一加減、血府逐瘀湯、温経湯、逍遙散、霊芝類などの去痰湿薬や補腎薬などで身体の巡りや力を整えます。　　
身体の状態に寄り添った漢方薬で上手に体調を整えてゆくと、自然と妊娠しやすい身体作りができてくるのです。

令和6年5月17日　足立よみうり掲載