漢方豆知識

第106話　『忍者のご飯「兵糧(ひょうろう)丸(がん)」』

　忍者がポンッと口に入れる丸い食べ物「兵糧丸」。
　数あるレシピの中で甲賀流忍法伝書老談集に記載されている兵糧丸には、もち米、うるち米、蓮肉（蓮の実）、山薬（山芋）、桂心（シナモン）、薏苡仁（はとむぎ）、高麗人参、氷砂糖が入っていたとのこと。これらは今も生薬として利用されているものばかりで、兵糧丸一つで滋養強壮、疲労回復、身体の潤い補充、お腹の調子を整えて下痢予防、気持ちを落ち着けてリラックス、寒気を取り除き身体を温め、痛みや弱りを緩和するといった作用が詰め込まれた配合となっています。
　その他にも水渇丸、飢渇丸といった忍者食があり、それぞれのどの渇きを潤し、栄養補給できるレシピになっています。
　過酷な環境の中で、手軽にエナジーチャージが出来てこれだけの作用がある忍者食はまさに忍者のコンバットトレーション戦闘糧食だったのですね。

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令和5年7月21日　足立よみうり掲載