創業明治三十九年 仁生堂薬局
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東京薬草散歩

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2016-10-03

第20回 荒川つながり・田島ヶ原

今年の9月は、稀に見る悪天続きでした。
秋晴れの元での散歩は、かないませんでした(--; そしていつしか9月が終わってしまい…失礼致しました。

9月24日に小雨決行した野草観察会。
今回は、そのなかで見つけた薬草をご紹介いたします。

観察会場は東京都…ではなくて^^; 特別天然記念物・田島ヶ原サクラソウ自生地(さいたま市桜区)です。
しかし、千住とは荒川でつながっている土地ということで、何卒お許しください。

サクラソウの開花期は、4月です。もちろん今は咲いていませんし、地上部も6月頃には枯れています。いまは根っこが、ひっそりと、来年の春に向けて花芽の準備中です。
今の季節の主役は、オギヨシなど背の高い草。上が茂っていると、真夏にも地温はあまり上がらず、サクラソウの根が暑さから守られます。
4月からの激変ぶりを愉しむのが、今回の観察会の主旨でした。

なにしろ雨続きの湿地ですので、足許はぬかるみと水溜まり。コンディションは良くないです。
ズッコケないように慎重に歩くと、通路際の高い草の間から、いろんな野草の花が顔を覗かせています。薬草もいろいろ見つかります。

ゲンノショウコ

ゲンノショウコ。フウロソウ科。普遍的な野草です。とはいえあまり都会のコンクリートには生育せず、それなり自然の残る場所を好むようです。
必ずしも湿地の植物ではなくて草原にも出現します。それでも、あまりカラカラの場所は好きでないようです。田島ヶ原の適度な湿り気が良いのでしょう。
お腹のくすりとして有名ですね。日本三大民間薬(ゲンノショウコ、ドクダミ、センブリ)にも数えられ、日本薬局方にも収載される、れっきとした薬草です。
このゲンノショウコは花弁がスレンダーです。たいてい、花弁がもう少し幅広で、隣の花弁と重なっているものがスタンダードです。
スレンダーな花弁が田島ヶ原のゲンノショウコの特徴なのか、この個体群の特徴なのか、見極めていきたいと思います。

フジバカマとコアオハナムグリ

フジバカマ。キク科。秋の七草。準絶滅危惧種。花は基本的に白で、ほんのり藤色が乗る感じです。
「フジバカマの葉っぱは3裂」とはよく知られるところです。しかし、本物のフジバカマは片側だけ切れ込んで2裂とか、まったく切れ込まない葉もまじります。
花屋に流通するきれいなピンクの「フジバカマ」は、葉っぱが律儀に3裂していることが多いです。これは同属のサワヒヨドリに特徴的で、流通する「フジバカマ」は、サワヒヨドリとの交雑種であるといわれています。
フジバカマの葉にはクマリン配糖体が含まれ、葉を摘んで半乾きにしたり、手でもんだりすると酵素の働きでクマリンが遊離し、雅な桜餅の香りを放ちます。
生薬名をランソウ(蘭草)といい、皮膚のかゆみに浴用剤としたり、この香りを衣類につけたりして用いたそうです。

メハジキ。そろそろ花の見納め

メハジキ。シソ科。ピンクの花をつつましやかに咲かせています。葉っぱのかたちが特徴的で、しかも茎の下の方と上の方の葉の形がまったく違っていますので、慣れればすぐに判ります。
二年草で、晩秋になるとたくさんのタネをのこして枯れますが、この枯れ姿もなかなか魅力的です。
生薬名はヤクモソウ(益母草)。日本薬局方に収載されています。
益母草とは、すなわち「おさんにのある」。女性の方の、とりわけ産前産後の瘀血(おけつ:血のめぐりが良くない状態)、冷え性、生理不順などの改善に用いられます。
漢方処方では、芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん)などに配剤されています。

クマツヅラ

クマツヅラ。クマツヅラ科。穂の先の方にほんのり淡いピンクあるいは淡紫色の小花をまとめてつけます。
先端が無限成長し(総状花序)、咲き終わった部分がヒョロヒョロと伸びるため、花はいつも先の方に咲いています。6-7月から咲くので、意外と長期間、花がみられます。
生薬名はバベンソウ(馬鞭草)。皮膚病、腫れ物に外用するそうです。
属名はVerbenaつまり「バーベナ」です。ん~、バベンソウバーベナ。似てますよね。偶然の一致なのか、それとも東西の交易でモノや名前が伝わっていて、似た名前が付いたのか…謎は深まります(笑)。

ここ、有名なサクラソウ以外にも、年間を通じて植物の宝庫であることは、意外と知られていないように思われます。
4月以外は、サクラソウ目当てで人があふれることもなく、のんびりと散策しながら、爽やかに植物観察できます。
あ、行く日の天気が良くても、前日までに雨が続いていると、足元がぬかってますので、そこは気をつけて!
また、柵の中は立入禁止ですので、ルールを守って見学しましょう。

さて、次回はさらに東京を離れて、秋田の薬草をご紹介しようと思っております。
それでは、また!!

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