2015-08-31
2015-10-29
2015-09-29
当コーナーもおかげさまで半年を迎えました。今秋は、東京近在の植物園を薬草散歩したいな~と思っております。
今回は、半年ぶりに故郷(?)東京都薬用植物園の、秋の薬草たちをご紹介いたします。
有名・重要生薬どころをチョイスしました!
こちらはミシマサイコ(セリ科)。生薬サイコ(柴胡)の基原植物で、とても重要な薬用植物です。
繊細な花ですね。この見た目を活かして切花としての需要もあります。
黄色い小花の群集というところはオミナエシにも似ています(オミナエシも薬草ですね)。然るにあっちは「敗醤」なんて漢名が付くくらいで、ニオイがイマイチ。とくに室内で鑑賞する切花ではニオイがこもって、ね…。
でもミシマサイコはクサくない!ので切花向きといえます(笑)。
さて、自生のミシマサイコはきわめて数を減らしてしまい、現在最新の、2012年の環境省レッドリストでは絶滅危惧II類(VU)に指定されています。今は全量、栽培品でしょう。
こちらはオケラ(キク科)、生薬名はビャクジュツ(白朮)。なかでも和白朮とよばれます。健胃、整腸などの作用があり、漢方薬方にも多く使われますし、お屠蘇にも入っています。
春に伸び出してきた芽生えは山菜としても賞味されます。
今頃の季節から、アザミを小さくしたような白い花を咲かせます。野の風情を大いに感じさせる花ですね。茶花としても用いられます。
オケラは、ミシマサイコに比べるとまだまだ身近にみられます。東京近郊のちょっとした山にも割と自生している植物です。
山歩きでオケラの花を見かけると、秋も深まってきたナ~と、私なんかは感じる次第です。
一方こちらはソウジュツ(蒼朮)、中国原産のホソバオケラです。
ん?上のオケラと違いがよく分からない??ふふふ。こちらの方が葉が細長いのです。だから細葉。そのままですね。花の色カタチはオケラによく似ております。
ビャクジュツとソウジュツ、近い仲間の植物から別の生薬が生まれるのですね。精油の「ヒネソール」や「β-オイデスモール」はソウジュツに特有であるなど、成分に違いがあったりして、別の生薬とされることも理解できます。それでも先生によってどちらを用いるかの考え方の違いもあって、しかもどちらも成果を上げていらっしゃいます。興味がつきません。
こちらの地味な色の花は、ノダケ(セリ科)。生薬名は、ゼンコ(前胡)。参蘇飲(じんそいん)などに配合されています。
セリ科は、花火のような複散形花序(ふくさんけいかじょ)という花のつき方が特徴的です。それで花があればセリ科であることはすぐに判るのです…が、セリ科同士がお互い似ておりまして、種の同定が難しい科だと思います。
花の色にあまりバリエーションが無いことも、理由のひとつではないかと思います。
セリ科の花は、ほぼ「白・黄色・薄緑」のどれかです。例を挙げますと…
白色…トウキ センキュウ コウホン セリ シシウド(唐独活)
黄色…ミシマサイコ ウイキョウ ディル(ジラ、イノンド)
薄緑…ヨロイグサ(ビャクシ) アシタバ
そこへきてノダケの花は渋い紫褐色。セリ科の中では文字通り異色の花、わかりやすい植物です。
せっかく日本にもこの重要な薬用植物が自生していますので、生薬の国産化推進のためにも、日本産のノダケに光が当たってほしいと思う次第です。
おかげさまで半年。今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。
では皆様、また来月。ごきげんよう!
第8回 秋の薬草園
秋のお彼岸も過ぎて、気候が安定してきました。当コーナーもおかげさまで半年を迎えました。今秋は、東京近在の植物園を薬草散歩したいな~と思っております。
今回は、半年ぶりに故郷(?)東京都薬用植物園の、秋の薬草たちをご紹介いたします。
有名・重要生薬どころをチョイスしました!
こちらはミシマサイコ(セリ科)。生薬サイコ(柴胡)の基原植物で、とても重要な薬用植物です。
繊細な花ですね。この見た目を活かして切花としての需要もあります。
黄色い小花の群集というところはオミナエシにも似ています(オミナエシも薬草ですね)。然るにあっちは「敗醤」なんて漢名が付くくらいで、ニオイがイマイチ。とくに室内で鑑賞する切花ではニオイがこもって、ね…。
でもミシマサイコはクサくない!ので切花向きといえます(笑)。
さて、自生のミシマサイコはきわめて数を減らしてしまい、現在最新の、2012年の環境省レッドリストでは絶滅危惧II類(VU)に指定されています。今は全量、栽培品でしょう。
こちらはオケラ(キク科)、生薬名はビャクジュツ(白朮)。なかでも和白朮とよばれます。健胃、整腸などの作用があり、漢方薬方にも多く使われますし、お屠蘇にも入っています。
春に伸び出してきた芽生えは山菜としても賞味されます。
今頃の季節から、アザミを小さくしたような白い花を咲かせます。野の風情を大いに感じさせる花ですね。茶花としても用いられます。
オケラは、ミシマサイコに比べるとまだまだ身近にみられます。東京近郊のちょっとした山にも割と自生している植物です。
山歩きでオケラの花を見かけると、秋も深まってきたナ~と、私なんかは感じる次第です。
一方こちらはソウジュツ(蒼朮)、中国原産のホソバオケラです。
ん?上のオケラと違いがよく分からない??ふふふ。こちらの方が葉が細長いのです。だから細葉。そのままですね。花の色カタチはオケラによく似ております。
ビャクジュツとソウジュツ、近い仲間の植物から別の生薬が生まれるのですね。精油の「ヒネソール」や「β-オイデスモール」はソウジュツに特有であるなど、成分に違いがあったりして、別の生薬とされることも理解できます。それでも先生によってどちらを用いるかの考え方の違いもあって、しかもどちらも成果を上げていらっしゃいます。興味がつきません。
こちらの地味な色の花は、ノダケ(セリ科)。生薬名は、ゼンコ(前胡)。参蘇飲(じんそいん)などに配合されています。
セリ科は、花火のような複散形花序(ふくさんけいかじょ)という花のつき方が特徴的です。それで花があればセリ科であることはすぐに判るのです…が、セリ科同士がお互い似ておりまして、種の同定が難しい科だと思います。
花の色にあまりバリエーションが無いことも、理由のひとつではないかと思います。
セリ科の花は、ほぼ「白・黄色・薄緑」のどれかです。例を挙げますと…
白色…トウキ センキュウ コウホン セリ シシウド(唐独活)
黄色…ミシマサイコ ウイキョウ ディル(ジラ、イノンド)
薄緑…ヨロイグサ(ビャクシ) アシタバ
そこへきてノダケの花は渋い紫褐色。セリ科の中では文字通り異色の花、わかりやすい植物です。
せっかく日本にもこの重要な薬用植物が自生していますので、生薬の国産化推進のためにも、日本産のノダケに光が当たってほしいと思う次第です。
おかげさまで半年。今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。
では皆様、また来月。ごきげんよう!